エッフェル塔とエスプレッソ・コーヒー


エッフェル塔が、万国博覧会のオブジェだと言うことは、ご存じですか。東京タワーは、実用的な、電波塔であるのに対して、ただの鉄塔。それが、文化都市パリの象徴たる所以となるのです。百年経った今でも観光客が訪れます。片やメガロポリス東京の象徴もと、一石二鳥をねらった東京タワーは、半世紀も経ていないのに、観光スポットから、はずれました。私はへそ曲がりなせいか、人が行かなくなった東京タワーを、射的屋の残る江ノ島とともに、デートスポットとして、今、郷愁ノスタルジックな意味で活用しています。お勧めは、渋谷駅からの、路線バスツアーです。忘れていた時間に、タイムスリップすること請けあい。話がそれていますが、問題は、文化の意味の読み違いによる芸術、アート、フランス語ではアールの、位置づけです。大いなる無駄こそ、文化なのです。学問、芸術は、この領域です。
 フランス車の展示場で働いている写真の仕事が志望という女性、 cafe de nui の客に、「フランスの車は、まだ曲線にこだわってるの」と聞いてみました。もちろん答えは、「ウイ」。芸術的仕事に就きたいと言う日本人の彼女の目でも、「何でそこまで、曲がるの、膨らむの」機械としての、合理性から逸脱しています。フランス的曲線はミネラル・ウオーターのペリエの瓶でわかります。エッフェル塔が、そこまで考えて作られたかどうか、計りかねます。造られた時期が、一回目の世界大戦、フランス帝国があの有名な塹壕戦の歴史的敗北を経験する前だからです。帝国のみせびらかしの鉄塔、日本では八幡製鉄所が動いた頃だと思うので、すごい自慢の種になったと思います。鉄は「産業の米」と、お受験の時に覚えさせられた方もおおいでしょう。そうです、二十世紀は「鉄の時代」だったのです。この十年、その記述は消えました。しかし、あの時代の、自慢の鉄塔が、見事にアール、曲線にあふれた芸術品なのです。
 鉄と言えば、我が国の自慢は、戦艦 ヤマト でしょう。煙突の付いたほうの「大和」のことです。この煙突こそ、イタリアの数少ない発明品のエスプレッソに繋がるのです。二十世紀前半は、「鉄と蒸気機関」の時代、パリ博の次の博覧会に展示されたエスプレッソ・マシーンは、鉄と蒸気でいれる最先端モードのコーヒーだったはずです。
 皮肉なことに、我が国では「鉄が産業の米」が終わるタイミングで、主に、従業員削減が目的で広まりました。そのため初期のドトールコーヒーで使われたような、煎りの深い豆は、あまり使われません。それに職人が必要だと考えていないので高い機械も味を作れません。二三百万の機械なら、深い煎りの豆をつかえば全自動、ボタンを押せば素晴らしい艶の液体が得られるのですが。cafe de nui  では、ニューヨーク在住のお客さんに頼んでイタリア パボーニ社製のマシーンを手に入れました。日本で買える外国製で家電メーカーの物も、いくつか試したのですが、電圧のせいか、思うような味になりません。パボーニ社製のマシーンは、国内ではバカ高いのですが。あちらでは二万円ちょいで買えるのです。運賃などで、五万円ぐらいになりましたが、気圧計の付いていないタイプは、あまり見かけていなかったので、味とともに自慢の品です。気圧計の付いていないぶん職人の感を必要とします。

玄豆屋のフレンチ・ローストのエスプレッソ・コーヒーは、調布市のレストラン「スリジェ」にて飲めます。
 
家庭でおいしいエスプレッソ・コーヒーを飲むには、「ハリオール」。引き出物か何かでどの家庭にも必ずある紅茶に使っているあれです。紅茶は押してはいけません。これは、元は、エスプレッソのための道具です。

つくりかた マニュアル

細挽きにした玄豆屋のフレンチ・ローストを一杯当たり五グラムの豆を入れ、熱湯を入れ、全体重を掛け思い切り上から押す(なるべく早くプレスする)。これだけです。

あら不思議、エクスプレスでエスプレッソの出来上がり。しかも オイシイ。

注、粉がこまかいので、力が必要。あとの洗いがメンドウ。
  あまり知られていない方法でしたが、uccが提案しだしました。それでも流行はしないでしょう。

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